社会で無意識につけている鎧を脱げる場所

絵本セラピスト協会の代表・たっちゃんが勧めてくれた、寮美千子さんの『あふれでたのはやさしさだった』を読みました。

『あふれでたのはやさしさだった』寮美千子 西日本出版社

説明文には次のように書かれています。

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奈良少年刑務所で行われていた、作家・寮美千子さんの「物語の教室」。

絵本を読み、演じる。

詩を作り、声を掛け合う。

それだけのことで、凶悪な犯罪を犯し、世間とコミュニケーションを取れなかった少年たちが、身を守るためにつけていた「心の鎧」を脱ぎ始める。

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少年たちは、

  • いつも無意味に笑っている
  • わざとふんぞりかえる
  • 殻に閉じこもる
  • 妙に姿勢がいい

といった自分なりの鎧を身につけていたそうです。

それは加害者になる前に被害者だった、壮絶な環境にいたせい。これ以上、傷つけられないように、つけた鎧。

ところがこの教室で、評価や出所に絶対に影響を受けないとの約束の上で、絵本を読みあったり、詩を作ったり、それに対する感想をお互いに述べ合っただけで、みんな、どんどんとその鎧がとけてゆき、自然な態度を取れるように変わっていくというのです。

それは、その場にいた仲間の受容の力でした。

その場で自分の言葉を発するだけで、それは自己表現となり、自信につながる。それを誰にも否定されず、判断をされない、ただ受け入れてもらえる。そういう体験ができたことで、心の扉が開き、彼らからやさしさがあふれでてきたといいます。

絵本セラピー®︎の目指す場

それはまさに、絵本セラピーが目指している、安心安全な場作りの結果の、受容の場です。

絵本や詩がもつすごい力を改めて確信したと同時に、自分にそんな重要な場が作れるのだろうかと大きな課題も感じ、もっと研鑽せねばと身が引き締まる思いがしました。

社会で身につけざるを得ない鎧

なぜなら、少年犯罪者のように「加害者になる前に被害者であった」ような過酷な環境にたとえいなくても、人は完璧ではありません。

家庭でも社会でも、親や友人や上司や同僚が、悪気なく、意見を否定してしまったり、自分の意見を押し付けてしまったりするのはよくあること。お互い様で、自分もそうしてしまっているかもしれません。

でもそのたびに、みんな無意識に、小さなかすり傷を負っていき、それが積み重なって、いつしかそんな社会で自身の心を守る鎧を身につけてしまっている人が多いのではないか、いやほとんどの人が実は何らかの鎧を身につけているのではないか、と思ったからです。

絵本セラピー®︎で心のマッサージを

それほど、現実の社会で、良い悪いの判断をしないでただ受け止めるというのは難しいことです。

でも、絵本セラピーでは、肩書きや経歴、成績や評価は関係ありません。同じ絵本をどう感じても、何も感じなくてもいい。どう受け止めても自由であることから、自然と、それぞれの感じ方を受け入れ合う場となっていきます。

過去に参加してくださった方から、絵本セラピーについてこのような感想をいただきました。

「テーマに合わせた絵本をもとに、自分はどうかという思考を巡らせみんなでシェア(共有)をする、心地よい癒しの空間です。

楽しみというか癒されに行きます。マッサージ感覚で。」

ありがとうございます!

そう、社会で身につけてしまった重たい鎧でカチカチになった心をほぐす、マッサージを受けるような感覚で絵本セラピーを習慣にしていただければ嬉しいです。

5月の彩の葉 絵本セラピー®︎

まもなく開催する2019年5月の彩の葉・絵本セラピー(藤沢5/11、東京5/18)は、「毎日を生きる」をテーマにお届けします。谷川俊太郎さんの素晴らしい詩が絵本になった「生きる」。そのほかにも5冊の絵本を準備してお待ちしています。

さらに、最後の絵本と関連して、自分を労わり、何が自分の生にとって大切なことなのか気づけるとっておきの歌もご紹介します。YouTubeで探しても出てこなかった幻の素敵な歌なんです。

気になる方は下記案内からお申し込みください♪

「絵本の詩」は、現代社会・競争社会で働く大人の皆さんが、ご自身の思いを安心してまっすぐ伝えられるような自己表現の場を作り、心の鎧を少しずつ脱いでいっていただけるよう、絵本セラピーでお手伝いしていきます!

5月の彩の葉 絵本セラピー®︎のお知らせ