大人が絵本を手にする時はどんな時でしょうか?子どものために選ぶ時?子どもに読んであげる時?では、子どもと縁がない人はもう読まないの?
私は大人になって絵本と出会いました。父を亡くした喪失感と、そんな時にも否応なしに押し寄せる仕事とプレッシャー。そんな時に絵本セラピーを受け、大人になって初めて絵本を読んでもらったのです。
「絵本ってこんなに面白いの!?」
それが、最初の印象でした。東京タワーを擬人化した絵本は、左右ではなく上下に開いていくという装丁。絵本ってこんなにクリエイティブで自由なものだとは知りませんでした。

「こんなことがあっタワー」というとぼけた関西弁も懐かしく、今年どんなことがあったかという質問に対して「お父さんが死んだわー」と明るく答えられたのでした。

2冊目の『おいで、フクマル』では一番古い記憶は?という質問がされました。その時もやっぱり思い出すのは父のこと。記憶というより、写真が好きだった父が撮って残しておいてくれた、ダンボールのみかん箱の中に入る幼い私と庭の沈丁花が映る写真を思い出したのです。
その日のプログラムで終始浮かんだのは父のこと、そして、遠くまできた自分のこと。途中、涙が溢れてしまいました。
プログラムを終えた私は付き物でも取れたかのようにすっきりした気持ちになり、「これでやっと前に進める」と感じたのです。
こんな風にぎゅーっと詰まってしまった何かを溶かし、大人の心を自由にしてくれる絵本の世界を体験してみませんか?
※8月に絵本セラピーを予定しています。
※本日ご紹介した絵本は後日、取り扱い予定です。