企業で広報を担当する際、ほぼ必ずお世話になるPR会社。広報に代わって、業務の一部やメディアリレーションを代行したり、場合によってはコンサルティングもしてくれる代理店です。プロジェクトの成否は広報担当者とPR会社の担当者の関係性や相性が左右すると言っても過言ではありません。それほど重要な協働相手であるにも関わらず、お互いの本音や期待する役割について、認識にズレがあるというのが実情のようです。

実は知らないクライアント企業側の本音

昨年末で、広報担当者として勤めていた会社を退職しました。お世話になったPR会社の社長にご挨拶したところ、「今度、うちの社内で講演してくれませんか?」と頼まれました。

聞けば、企業の広報担当者の視点で、PR会社の選び方や信頼できるアカウント・エグゼクティブ(AE、顧客担当者のこと)について、多くのPR会社とおつきあいをしてきた立場から話してほしいとのことでした。組織から離れた今の立場だからこそ、本音を聞けると思っていただけたのかもしれません。

確かにPR会社選び、そのおつきあいやマネジメントはなかなか難しく、上司からもっと上手にするよう叱られることもありました。そこに苦労した私だからこそ、話せることがあるのではないか?とお引き受けすることにしました。

AEとは、入社後3~5年経った中堅社員で、これから担当企業を持ち始めるポジションとのこと。これから企業と協働していく方々に、少しでもお役に立つことができるのであればと個人的な経験に基づく視点とお断りした上で、お話しさせていただきました。

相互理解が不足

プロジェクトの成否を左右する、企業の広報担当者とPR会社のAEという担当者同士の関係。

講演準備にあたり、改めて振り返りやアンケートの分析をしてみると、この関係において、それぞれ相手の立場の理解や思いやりが足りておらず、コミュニケーションが不足していたことを思い知りました。

AEは広報担当者の本音や、普段社内でどんな仕事をしているのかさえ聞く機会がなく、同様に、広報担当者であった私は、AEの役割や苦労、何がモチベーションになるのかを十分に理解できていませんでした。

講演では、企業の広報担当者が、広報戦略やプランについて社内承認や予算、協力を得るのにいかに労力を使っているかをお話すると、AEの皆様からは「そこまでとは思わなかった」との反応が。

一方、PR会社やAEの立場からすると、ニュース性のないネタのメディア露出を頼まれて困ることが多く、ニュースネタを求めるものの、「ない」と言われたなどの声が。

実はよっぽどの素晴らしい企業でない限り、本当にニュースになるような良いネタなんて、そうそうないものなのです。ないならないで、新たにネタを作る、上手にストーリーを見つけ出すのが広報担当者やPR会社の腕の見せ所。つまり、「何かないですか?」「ありません。」で終わるのではなく、両者が知恵を絞ってフックを見つけ、作り出さなければならないのです。

もっとコミュニケーションを

講演準備をしながら、後悔したことがあります。

現役時代にもっと本音ベースでAEさん、PR会社の人たちと話してみたらよかった。

会社として、業者選定の時だけでなく、普段から各PR会社の特徴を知るためにプロモーションのプレゼンをしてもらえばよかった。会社として代理店さんとの上手なおつきあいの仕方を学ぶ場を作ればよかったと。

組織にいるとどうしても忙しく、関係構築やコミュニケーションにゆっくり取り組むことができません。本音を聞くのにも勇気がいります。でも、一歩踏み出せば、さらに信頼しあえる関係で、同じ目標に向かって協力でき、成果やその喜びを分かち合えたなと思うのです。

PR会社のAEさんたちのアンケートには、「クライアントに喜んでもらえた時に喜びを感じる」とありました。それが多くのAEさんたちのモチベーションだと知っていたら、その思いを叶えるよう、こちらももっと努力できたんじゃないかと考えてしまいます。

お互いの仕事に対する思い、聞いてみませんか?

星の響